工学部材料化学科の伊田翔平講師が、Polymer Chemistry誌において「Pioneering Investigator 2025」に選出されました
2025年7月29日
工学部材料化学科の伊田翔平講師が、イギリス王立化学会が発行する学術論文誌『Polymer Chemistry』におきまして、「Pioneering Investigator 2025」に選出されました。『Polymer Chemistry』は高分子化学の専門誌であり、同分野におけるトップジャーナルのひとつです。同誌では2年に一度、高分子化学分野において先駆的な研究を進める中堅世代の研究者を紹介する特集(Pioneering Investigators Collection)を展開しています。今回の特集では、編集委員会による推薦の後、論文の査読審査を経て、伊田講師を含めて世界各国から14名(7月22日時点)の研究者が選出され、論文が掲載されています。さらに、伊田講師の論文は8月7日号(Issue 29)の表紙にも採用されています(下記画像)。また、この研究は伊田講師?金岡鐘局教授を中心とする本学の研究グループと滋賀県工業技術総合センターの共同研究として行われたものです。
論文の概要
題目
Fast and controlled thermoresponse in the photoluminescence of well-designed hydrogels of two separate nanodomains with solvatochromic dyes
ナノドメイン構造を有するヒドロゲルとソルバとクロミック色素の複合化による高速かつ制御可能な温度応答蛍光特性変化)
著者
和久田捷斗(材料科学専攻博士前期課程2回生)、伊田翔平(材料化学科講師/責任著者)、大山雅寿(滋賀県工業技術総合センター研究員)、中島啓嗣(滋賀県工業技術総合センター研究員)、竹下宏樹(材料化学科准教授)、金岡鐘局(材料化学科教授/責任著者)
概要
イカやタコなどの生物は筋肉の動きを利用して体表の色素の環境を変化させることで体色を変化させます。このような生体のゲル状軟組織が見せる振る舞いを人工のゲル材料で実現することには、新たなセンシング材料やソフトロボットへの貢献が期待できます。伊田講師らはこれまでに、内部ナノ構造の設計に基づき、熱刺激に対して強さを変化させるヒドロゲルに関する研究を進めてきました。本研究ではこの特性をイカやタコの筋肉の働きに見立てて、周囲の環境に応じて色を変える色素と巧みに複合化することにより、温度変化に対して素早く色と強さを変化させるゲル材料を合成し、構造や特性の評価を行っています。
